2018/02/10

英語は理科で出来ている?

英米人の言質は、何か強力で硬質なベースに拠っており、ブレがあまり無い。
それは一体何か、時おり考えてきたけれど、やはり ─ 広く多くの識者がいうように、キリスト教と科学ではないか。

学校教育に絞って、英語と理科について考える。
授業で押しつけられる英語が理科を完全に表現しているわけでもないし、また、理科を熱心に学んだからとて英語をペラペラになれるわけでもない。
それでも言いたい ─ 英語と理科(およびスポーツ)は「着想の根元」がかなり重なっているような気がしてならぬ。

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まず、あらゆる英単語は「物質」と「力」と「仕事」から成っている ─ としよう。
(なお日本語の単語は言霊から成っている。)

① そうすると、英文の基本構造であるSVOCを理解しやすい。
もちろん、SVOC構成の把握ごときでは英米人と同じソリッドな英語表現はつくれない、が、SVOCという論理系は何らかの「物質」と「力」と「仕事(エネルギー)」の関係を表現する、とはいえまいか。
併せて、「運動」か「状態」をも峻別して表しているのでは?

② 不定詞と関係代名詞は英語論理における最大の発明だ、と見做されるらしいが、これは「仕事」の多段的な「連結」「相乗」ともいえる。
さらに分詞になると、物質と力と仕事を全部まとめて「連結」も「相乗」も出来る。

③ 前置詞(on, in, to, with) は、物質と力と仕事の「位置関係」を表現しているのでは?
"as" や "while" ほか、関係副詞なども根本センスは同じではないか?

④ 時制は、物体と力と仕事が運動なのか状態なのかを表現してきた、と思われてならない。

⑤ yes, no ほか、副詞、および比較形は、物質と力と仕事の「量化」ないし「数量化」の概念から派生したのではないだろうか?

⑥ 単数と複数、数詞("set" や "pair" や "lot") は、化学そのものではないか?

⑦ 冠詞 "a/an" と "the" の違いでは、ただ存在するだけの物質は "a/an" で表し、イオンや帯電などの化学変化を為したものは "the" をおくような気がしている ─ 気のせいかもしれないが。

⑧ 英単語自体にはさらに面白いヴァリエーションがあり、それは「属性」と「作用」のどちらか(あるいは両方)を指すというところ。
たとえば、"significance" はそれ自体が明示的だという属性も指すが、重要な効果をもたらすという作用も指している。
"impression" などは、属性よりも作用として用いられる場合が多い。
自然科学にて必須のアクション、つまり "observation" や "analysis" や "study" や "question" や "matter" などは、その対象と人間とのかかわりあいを成す行為、だから作用の表現である。
属性でもあるが、作用でもある、こういうのが態の変化と相まって厄介だ、たとえば "ionise" や "affect" などだが、これらこそまさに化学のセンスでもある。

⑨ これは英語だけではないが、人間の言語表現は 5W1H つまり "what", "when", "where",  "who", "why", "how" の、それぞれ独立した次元から成るとされる。
(この次元分類からすると、数学はせいぜい "what" と "why" と "how" の 2W1H しかないことになる?)
ただ、物理学では物質の正体がどんどん明かされ、量子物理学以降の世界では森羅万象なにもかもが "what" だけであると見做されている、かもしれぬ。
いずれ英語表現もすべて "what" 次元だけになってしまうのか?
いや、それとも、もともと英単語自体が "what" だけだったのかもしれないゾ。


⑩ 最後に重大なことを併せ記す。
経済学、経営学、政治学、法律学などの社会科分野は、民族の自律性と伝統精神と根性に立脚すべきである。
日本人であるのなら、これらの分野にては絶対に英語を最優先言語に据えてはならぬ!


以上だ、雑感まで。

(※ なお次回は、「英語は数学にも似ている??」 をお送り致します。)